社会医療法人 博友会

社会医療法人博友会は医療・看護・介護を通して地域に貢献いたします。

妊娠初期に鬱っぽい原因と鬱病の違い、胎児への影響を精神科が解説

妊娠初期に鬱っぽい原因と鬱病の違い、胎児への影響を精神科が解説

「妊娠してから何だか鬱っぽい…これって皆そうなの?」

妊娠初期に鬱っぽくなることは珍しくありませんが、鬱病につながる可能性もあるため注意が必要。

そこで今回は、妊娠初期の鬱っぽい症状(精神不安定さ)と鬱病の違いについて解説させていただきます。

鬱病になりやすい人の特徴についても解説しているので、当てはまっていないかご覧ください。

それでは、早速解説していきます。

妊娠初期に鬱っぽくなる原因とは

妊娠初期に鬱っぽくなる原因とは

妊娠初期に鬱っぽくなる原因はいくつか考えられます。例えば以下の通り。

  • つわり
  • 妊娠によって起こる体調変化
  • 出産への不安や見通しがたたない焦り
  • 眠れない・過眠傾向になる
  • ホルモンバランスが崩れることによる精神不安定さ

しかし、これらは妊娠の初期症状からくる一時的なものです。では、妊娠初期症状の精神不安定さと鬱病はどういった違いがあるのでしょうか?次の項目で解説します。

妊娠初期症状の精神不安定さと鬱病との違いは?

妊娠初期症状の精神不安定さと鬱病との違いは?

妊娠初期症状の精神不安定さ鬱病
原因ホルモンバランス脳の働きの不調と考えられる
治療時間経過で回復専門医による治療が必要
症状気持ちが不安定になる体がむくみがちになる食欲が増すこともある抑うつ気分食欲がなくなる不眠、過眠

妊娠初期では、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」というホルモンの量が上昇し、不安や緊張、抑うつなどの原因になります。また、排卵期に精神が不安定になる原因の一つでもあります。時間経過で回復することがほとんどです。

これに対し、鬱病は、脳の働きに不調が生じるためと考えられており、精神疾患の一種で治療が必要になります。

しかし、妊娠初期症状の精神不安定さが強くなり、うつ病が発症する可能性もあるため判断が難しい症状になります。

次は、妊娠初期に鬱病になりやすい人の特徴をお伝えするので、当てはまる方はご注意ください。

妊娠初期に鬱病になりやすい人の特徴

妊娠初期に鬱病になりやすい人の特徴

ここでは妊娠初期に鬱病になりやすい人の特徴についてお話ししていきます。

PMS(月経前症候群)の症状が強い人

ホルモンバランスが崩れることにより、感情が不安定になったり集中力が無くなるなどの症状があるPMS。一般的にもよく知られていますが、精神症状が強くなるとPMDD(月経前不快気分障害)に分類されます。

PMDDはアメリカの精神医学界で鬱病のひとつとされていますが、日本ではまだまだ知名度が低いです。

PMSと言われたけれど、気分が沈んだり理由もなく不安になる…といった方は、一度専門医に相談しましょう。

メランコリー親和型の性格の人

妊娠初期に限った話ではありませんが、昔から「真面目で几帳面、責任感が強い」メランコリー親和型の性格の人はうつ病になりやすいと言われています。

凝り性や気を遣って疲れてしまう、完璧主義などに当てはまる方は注意しましょう。

周囲のサポートが少ない

鬱病には環境も大きく関わると言われています。例えば、家族のサポートが少ない環境。

一般的に大きなライフイベントの際は強いストレスがかかると言われており、妊娠〜出産は心身共に負担の大きい時期になります。その際、不安を打ち明ける相手がいない、家族関係が上手くいっていないなどの環境があると、お母さんがストレスを溜め込んでしまい不調をきたすというケースも珍しくありません。

旦那さんやご両親など、家族のサポートが受けられるよう事前に相談したり、悩みを打ち明けられる環境を作っておきましょう。

妊娠中に鬱病になると胎児への影響はあるのか

妊娠中に鬱病になると胎児への影響はあるのか

妊娠中に鬱病になると、胎児への影響は「ボンディング」面で関係があるという研究結果が出ています。

ボンディングとは、母親が子どもに感じる情緒的感情であり、噛み砕くと「赤ちゃんが愛おしい、守ってあげたい」と思う感情のことです。

研究の結果、鬱傾向のある母親と、ボンディングには関係があり、以下のように述べられています。

うつ状態の母親は気分の落ち込み等の症状から,胎児へと注意が向かない可能性が考えられる。またうつ状態によって自分や他者に対する否定的な認知をしやすくなる事が報告されており(Stein et al., 2010),母親は胎児に対しても否定的に捉えやすくなると考えられる。

引用:《研究論文》 妊娠期における母親から子どもへのボンディングの関連要因 The factors related to mate

万が一ボンディング障害が起きると、児童虐待に繋がる恐れもあるため、放置せず通院して治療しましょう。

鬱病かもと思ったら医療機関に相談しましょう

鬱病かもと思ったら医療機関に相談しましょう

最近気分が沈みがち、鬱病かも?と思ったら自己診断せず、専門医に相談しましょう。

心の病は重篤化してしまうと治療に長い時間がかかります。症状が軽いうちに受診することで、早めの回復が望めるため、まずは受診することをオススメします。

まとめ

今回は、妊娠初期に鬱っぽくなる原因について解説させていただきました。最後にポイントを振り返りましょう。

  • 妊娠初期に鬱っぽくなる原因はつわり、体調変化、ホルモンバランスの崩れなどがある
  • 妊娠初期症状の精神不安定さと鬱病は別物だが、関係することもある
  • 妊娠初期に鬱病になりやすい人は「PMSの症状が強い人」「メランコリー親和型性格の人」「周囲のサポートが少ない人」
  • 妊娠中に鬱病になると、ボンディングの面で影響がある
  • 少しでも「鬱病かも?」と思ったら早めに専門医へ相談する

社会医療法人博友会は「精神科救急医療」体制が整っております。

社会医療法人博友会は「精神科救急医療」体制が整っております。

平岸病院では休日・祝日を含む365日、時間外診療を実施しております。

電話番号:0125-38-8331

アクセス方法:

交通機関

  • JR
    〔根室本線〕平岸駅下車(徒歩7分)
  • 中央バス
    〔滝芦線〕〔砂芦線〕新光町停留所下車(徒歩1分)
    〔高速ふらの号〕平岸停留所下車(徒歩7分)

駐車場も完備しておりますので、お車でもお越し頂けます。